研究分担者 |
大森 聖也 久留米大学, 医学部, 助手 (00177007)
植田 正信 久留米大学, 医学部, 助手 (10160178)
白水 玄山 久留米大学, 医学部, 助手 (10154379)
山名 秀明 久留米大学, 医学部, 講師 (30140669)
藤田 博正 久留米大学, 医学部, 講師 (90156878)
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研究概要 |
1.臨床的研究:1)胸部食道全摘術後の循環動態変化は, 術直後はhypovolemiaが主体で, 術後2〜3日になると肺動脈圧が上昇し, 肺内水分量も約10%程度の上昇を認め, 肺シャント率も増大した. 体液性因子の変化についてみると, 術後1日目にcatecholamineやrenin-angiotensionなどの, 上昇が顕著であったが, TXB_2は術後1時間目に著明な上昇を認め, 術直後の肺循環障害に関与していることが考えられた. また, 術後2〜3日目の呼吸障害にはLeucotrieneの関与が示唆された. 2)胸部食道全摘と胃管による食道再建術後の腸管運動を, 小腸内圧を測定することにより検討したところ, digestive patlernの波形が出現する日時は約20日を要し, 胃全摘術後の10日と比べて著明な腸管蠕動の抑制が認められた. この腸管運動障害には, 消化管ホルモンの1つであるmotilinが関与していることが考えられた. 3)胸部食道全摘後に, 胃管による再建術が最も広く行われているが, 術後に嚥下性肺炎を認める頻度が著明に高く, この原因を99m Tc-colloidを用いて究明したところ, 仰臥位になると高率に胃内からcalloidの逆流と誤嚥を認め, pH-monitorによる検索でも十二指腸液の逆流がみられ, 誤嚥性肺炎の発生原因となっていることが判明した. 2.実験的研究:1)胸部食道全摘術を犬に対して行い, 術直後の呼吸循環動態と体液性因子について検索したところ, 肺抵抗は100%以上の増大, 肺conplianceは70%の減少, 肺水分量は80%以上の増加を認め, 循環動態では肺動脈圧と肺動脈楔入圧の上昇が顕著であった. 体液性因子の変動では, catecholamineやrenin-angiotensin等が著明に上昇したが, chemical mediatorとしての5-HTやhistaminの上昇はそれほど顕著ではなく, TXB_2のみが最も顕著な上昇を示した. しかし, 6-keto PGFIdの上昇は認められず, 術直後にはこれらのバランスの乱れが呼吸循環動態に強く関与しているものと考えられた.
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