研究概要 |
文部省科学研究費の助成を得て, ホログラフィーの脳神経外科領域への導入の研究を以下に延べる如く促進させる事が出来た. 1.Multi-Tomogram holography(MTHLG)によるMRI診断の向上の研究, これは吾々の従来のX-線CTの三次元再生の技術をMRCTに応用検討したもので, 主として61年度のプロジェクトとしてまとめ論文発表する事も出来た. 対象疾患を脳腫瘍にしぼって自験例の中より研究目的に適うる例を選んでそのMRCTを三次元再生した. 脳下垂体腺腫, 小脳髄芳腫および視床下部胚細胞腫で, 脳蓋底あるいは脳深部と周囲との立体関係が客観的に観察がより望ましい症例であった. 原理および技法は診文に記述した通りで10枚の一連のMRI像を一つのHLGにまとめた. 光線はアーチファクト避けてArgonレーザーを用いた. MRCTを三次元的に観察出来る事を確認したが, MR像は脳構築が期待以上に詳細に出るので, 至適な条件を原画をとる段階で工夫する事が今後の課題でもあり, 又, 論文発表時のHLG再生の写真は, 研究方向とは逆行するステレオ写真を利用せざるを得なかったが, えも今後の問題である. 2.Cylindrcal multiplex holography(MPHLG)は62年度に研究した. 従来吾々の試みたholographic stereographyを回転式cine angiographyで既に得られた巨大脳動脈瘤の血管撮影の一連のものをMPHLGでまとめた. 約1/3°の角度をつけて連続して造影された原画の各々を巾0.5mmのstripeにして一連の写真を円柱フィルムに収録し, 白色光再生した. 従来のステレオ撮影より更に自然に立体視および動的観察が出来る事を確認した. 1のCT像2のcine-angiographyのHLG化により, より客観的な診断が出来, 治療の向上に繁ると思う.
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