研究概要 |
我々は, clonogenic assayを, 化学発癌の早期に出現するコロニー形成細胞の解析に応用し, 二層軟寒天培地でのコロニー形成を指標として, 発癌プーモーターおよび抗発癌プロモーターの短期検索を行った. まずBBNによるラット膀胱化学発癌において, 腫瘍発生自然にコロニー形成細胞が出現すること, およびコロニー形成数は発癌剤の投与量に依存することを明らかにした. この結果にもとずき, ラットに短期間BBNを投与したのち, サッカリン, トリプトファン, ロイシン, イソロイシンなどの膀胱発癌プロモーターを投与し, 膀胱細胞のコロニー形成について検討した. その結果, コロニー形成能はプロモーター活性を反映することが示され, コロニー形成を指標とする膀胱発癌プロモーターの検出系を確立した. さらに, マウス皮膚二段階化学発癌の早期において認められるコロニー形成が抗プロモーター物質のレチノール酸の投与により制御されたことからコロニー形成を指標として, 膀胱発癌抗プロモーターの検索を試みた. ラットにBBNを短期間投与後, 強力なプロモーター物質のサッカリンとともに各種被検物質を投与して, 膀胱細胞のコロニー形成に対する影響を調べた. その結果, サッカリン投与により認められたコロニー形成は, ビタミンA, NDGAの同時投与により抑制され, ラット膀胱発癌において, ビタミンANDGAが抗プロモーター作用を有する可能性が示唆された. 以上の結果から, 二層軟寒天培地でのコロニー形成を指標とした本実験系は, 発癌プロモーターおよび抗プロモーターの短期検出法として有用と考えられた.
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