研究分担者 |
元山 鎮雄 慶応義塾大学, 医学部・産婦人科, 助手 (30174353)
菅原 正人 慶応義塾大学, 医学部・産婦人科, 助手 (10162851)
萩庭 一元 慶応義塾大学, 医学部・産婦人科, 助手 (60146652)
中沢 和美 慶応義塾大学, 医学部・産婦人科, 助手 (30129556)
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研究概要 |
我々は内外にさきがけ, ヒト胎盤組織中に異新性のオキシトミン(OT)様物質の存在することを報告したが, 本研究でその物理化学的性状, 生理作用等に関する検討を行った. 1.OTのRadio Tmmunoaseay;10pg/ml〜10mg/mlのきわめて鋭敏で特異的な用量曲線が得られた. 2.胎盤組織のOT含量;ヒト妊娠各期の胎盤よりOTを酢酸抽出した. 抽出物のdilusion culleは合成OTとRIA上で平行し, 両者はイオン交換クロマトグラフィーで同部分のfractionに溶出した. 胎盤のOT濃度, 含量とも妊娠週数とともに増加することが示された. 3.胎盤性OTの生物活性;胎盤抽出物はラット子宮筋に対し合成OT同様の収縮作用を有すること, この作用が抗オキシトシン抗体により中和されることが示され, 胎盤性OTが合成OT様の生物活性を持つことが示唆された. 4.胎盤性OTの局在;変法PAP法でImmnnoveactice OT(Ir-OT)が免疫組織化学的にsyncytiotrophoblastに局在することが示された. 5.胎盤性のOTの生合成;胎盤組織を24時間培養すると, 胎盤組織中のOT濃度は, 蛋白合成阻害剤cyclohexamide添加により有意に低下しIr-OTが胎盤組織中で合成される可能性が示唆された. 6.胎盤性OTの分離, 精製;SephadexG-25によるゲル濾過により胎盤OTに大分子部分と小分子部分の存在すること, 小分子部分がOT類似物質である可能性が示され, 小分子部分に強いラット子宮筋収縮作用が認められた. 免疫吸着クロマトクロマトグラフィー, 高速流体クロマトグラフィーを含めた精製操作により胎盤OTのアミノ酸配列, 生物化学的性状の詳細についての検討が引き続き行われ, いまだ不明の点が多い分娩発来機構, 妊娠維持機構の解明に大きく寄与することが期待される.
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