研究分担者 |
真鍋 恭弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (00199910)
涌井 慎哉 福井医科大学, 医学部, 助手 (00191734)
高波 二三 福井医科大学, 医学部, 助手 (20187983)
斎藤 武久 福井医科大学, 医学部, 講師 (10139769)
斎藤 憲治 福井医科大学, 医学部, 助手 (90186932)
|
研究概要 |
1.フォスフォイノシトール2燐酸(PIP_2)とアミノ配糖体抗生剤(AGs)との結合度からみた耳毒性の評価 PIP_2との結合度からみると, 新しいAGsのASTMなどは動物実験結果と一致したが, TOBやRSMが逆に不一致を示し, AGsの塩基度のみからの耳毒性評価には限界のあることが判明したが, 強い結合性が示された. 2.ポリアニオンの鼓室内投与によるAGs耳毒性の軽減効果の研究 KM単独鼓室内投与群に比し, KM+ヘパリン(Hp)同時投与群において, 蝸電図でのN1域値の上昇はやや軽度となり, Hp先行投与後KM投与群では有意に域値上昇は軽減された(P<0.001, t検定). このことはSEMによる形態学的研究においても立証され, Hp併用群で蝸牛外有毛細胞障害が軽減されていた. この場合は, KMとHpの同時投与の場合の方が, 耳毒性軽減効果は強くみられた(P<0.05). 3.ポリアニオンの茎乳突孔投与によるAGs耳毒性の軽減効果の研究 GM(0.4mg)単独注入群, GM(0.4mg)+Hp(50u)同時注入群, Hp(50u)注入先行後GM(0.4mg)注入群の3群にわけて, その蝸牛有毛細胞障害性をSEMで定量的に比較した. その結果, 3群間に有意差を生じなかった. これは蝸牛内にこの両者が注入された場合, Hpの中和結合力よりも蝸牛有毛細胞中のPIP_2との結合力の方が強いために耳毒性が軽減されなかったと考察した. 結論として, (1)アミノ配糖体抗生剤による耳毒性発現の第一歩として, その塩基性による内耳有毛細胞への附着が重要であること, (2)その附着をブロックするポリアニオンである程度の耳毒性軽減効果のあること, (3)しかし, イノシトール2燐酸とアミノ配糖体との結合力が強いためにヘパリンの投与では限界のあること, が明らかになった.
|