研究分担者 |
東 範行 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (10159395)
桂 弘 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (40129391)
田中 靖彦 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (30051551)
秋谷 忍 慶応義塾大学, 医学部, 助教授 (10051286)
神園 純一 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (30138078)
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研究概要 |
1.毛様体・周辺部網膜・硝子体基底部の比較解剖により, ラット, マウス, ウサギは, ヒトと著しく異なる構造を示すことが判明した. イヌ, ネコはかなりヒトと類似していた. サルは極めてヒトと類似するが, 出生時, 網膜血管の発達は良好で, 自然出産では酸素誘導網膜症の実験には不適と思われた. 2.ヒト胎児眼球において毛様体上皮の一部はS100蛋白抗血清により染色されたが, GFAPでは染色されずグリア細胞の性質を有しないことが推測された. 3.ビーグル犬の酸素誘導網膜症は生後3日より90-100%酸素を4日間投与した場合に著明であった. しかし毛様体, 周辺部網膜, 硝子体基底部の変化を検眼鏡的, 組織学的に検索したが何らの変化も認められなかった. 視神経網膜の増殖血管は水晶体後部白色組織, 網膜襞を形成することなく治癒した. 4.ヒト毛様体上皮細胞の色素細胞, 無色素細胞を分離して培養することが可能となった. 無色素上皮の至適培養条件では胎児牛血清が細胞成長因子として重要であり, また高濃度のグルコースおよびアミノ酸が不可欠であった. 5.ウシ眼にて前房水蛋白と硝子体可溶性蛋白を免疫拡散法にてウシ血清成分を吸収させた抗ウシ硝子体血清と反応させ硝子体可溶性蛋白のみと反応する沈降線が1本認められた. この特異蛋白の分子量は約2万と推定された. 6.第三次硝子体と呼ばれていた毛様体小帯および硝子体基底部の原基は胎齢9週以後, 毛様体側より形成が始まる. 胎齢12週以降, 周産期まで網膜においてはヒアルロン酸がミューラー細胞によって産生され硝子体成分となる. 7.発達期の初期からヒト硝子体内には成人のヒアロサイトと極めて類似した細胞が存在し, この細胞は水晶体前方や視神経内血管周囲にも認められた. 8.ヒト臍帯血管内皮細胞の初期培養にて増殖細胞の管腔形成が認められた. 9.幼若ラットにおいてグルタミン酸ソーダにより種々の眼組織の異常を伴った小眼球が生じることが判明した.
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