研究分担者 |
加藤 直子 関西医科大学, 医学部(眼科学), 助手 (10194838)
山岸 和矢 関西医科大学, 医学部(眼科学), 助手 (90174599)
板垣 隆 関西医科大学, 医学部(眼科学), 講師 (30140255)
大熊 紘 関西医科大学, 医学部(眼科学), 講師 (70077775)
宇山 昌延 関西医科大学, 医学部(眼科学), 教授 (30025580)
西村 哲哉 関西医科大学, 医学部(眼科学), 講師 (30156111)
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研究概要 |
1.高令者の失明原因として重要な老人性円板状黄斑変性症の病態生理を解明するための実験研究を行った. サル眼の後極部網膜にクリプトンレーザーで強い光凝固を行って, 凝固部より脈絡膜新生血管を発生させた. 脈絡膜新生血管は光凝固後1,2週で発生し, その後数週間持続して, 6,8週後には自然消褪した. 病理組織学的には, 発育時には新生血管の周囲に増殖遊走した網膜色素上皮細胞を伴っていること, 自然退縮時には増殖した色素上皮が1層を作って新生血管を囲いこんでいることがわかった. 2.この2つの観察事実は, 網膜色素上皮が脈絡膜新生血管の発展と退縮に深く関与していることを示唆した. この考えを確認するため, 網膜色素上皮を選択的に障害する薬物を用いて更に実験を行った. 微量のオイニチンを硝子体内に注入し, 又はヨード酸ソーダの全身投与(静注)を行った. この2薬剤の投与により網膜色素上皮に強い変性をおこさせることが出来た. 3.光凝固の1又は2週前にこのどれかの投与を行い網膜色素上皮を変性させておくと, 光凝固を行っても, その後, 新生血管は全く発生しなかた. この時, 光凝固後, 脈絡膜血管から新生血管は発芽していたが, それがBruch膜をとおって網膜内へ進展しないことがわかった. 又, この際, 色素上皮細胞の増殖はみられなかった. 光凝固後, 1ないし2週して脈絡膜新生血管が発育しつつある時期に同様にどちらかの投与を行うと, その後新生血管は退縮しないで10週以上にわたり, 長期間新生血管の活動性を持続した. このときに色素上皮による新生血管の囲い込みがみられなかった. 4.これらの実験成績は脈絡膜新生血管の進展には増殖した網膜色素上皮の陏伴が必要であり, 新生血管の退縮は増殖した色素上皮の囲い込みによることが明らかになり, 新生血管の発育と退縮要因として網膜色素上皮の関与が明らかにされた.
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