研究概要 |
必要量の牛歯肉の入手が困難なことが分ったので,目的のコラーゲナーゼ・インヒビター即ちコンカナバリンA非結合性・分子量21.5Kのインヒビター精製過程に於ける収量の改善を検討した. 即ち,歯肉組織の磨砕を徹底的に行うこと及びカラム・クロマトグラフィーの順序を変え濃縮の回数を減らす事により,3倍収量を上げることが出来た. 酸性歯肉抽出液をCMーセファデツクス,コンカナバリンAーセファローズ,セファデックGー150,ヘパリンーセファローズ,DEAEーセルローズ,ヘパリンーセファローズ等のカラム・クロマトグラフィーによって精製し,歯肉100g(牛歯肉30頭分)当り370μgのインヒビター標品を得ることが出来た. 更に,100gの牛歯肉から同様に精製することにより,合計740μgの同標品を得た. これ等のインヒヒビター標品は純度約70%であったので,SDS電気泳動により分離し,抽出することにより,目的のインヒビターの純品400μgを得ることが出来た. 尚,必要量の牛歯肉が入手される間,目的のインヒビター精製過程で附随して得られる他の2種のコラーゲナーゼ・インビターの部分精製を行い,それ等の性状を明らかにした. コンカナバリンA非結合性・分子量50Kのインヒビターはリウマチ・コラーゲナーゼの外,サーモリシン及びトリプシンにも阻害活性を示し,コンカナバリンA結合性・38Kのインヒビターはリウマチ・コラーゲナーゼのみ阻害し,目的のコンカナバリA非結合性・分子量21.5Kのインヒビターはコラーゲナーゼの外,サーモリシンに弱い阻害活性を示した. 以上3種のインヒビターは熱耐性であり,有機水銀に対しても抵抗性を示したが,バクテリア・コラーゲナーゼには阻害活性を示さなかった.
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