研究概要 |
私達のこれまでの研究の進行上, 本年度は歯科用合金ろう付部の疲労試験をおこなった. 使用した合金は, 18ー8ステンレス鋼, 加工用NiーCr合金, 加工用CoーCr合金, 焼付用NiーCr合金であった. ろう合金は, 銀ろう,14Kろう,焼付用NiーCrろう(前ろう)であった. ろう付は, 試料を金型に固定し, 電気ろう付装置, および都市ガス一酸素炎を用いておこなった. 疲労試験は油圧サーボ式疲労試験機を用いて, 試験速度30H_z,引張片振りでおこなった. 試験環境は37℃の人工唾液中であった. 試験の結果, 疲労限度は,加工用NiーCr合金(銀ろう)が22.4Kg/mm^2, 加工用CoーCr合金(銀ろう)が19.5Kg/mm^2, 18ー8ステンレス鋼(銀ろう)が19.8Kg/mm^2, 焼付用NiーCr合金(NiーCrろう)が21.5Kg/mm^2, 加工用NiーCr合金(14Kろう)が28.6Kg/mm^2であった. この結果疲労限度/ろう付強さの比は, それぞれ, NiーCr合金(銀ろう)が0.41, CoーCr合金(銀ろう)が0.37, ステンレス銅(銀ろう)が0.41, 焼付NiーCr合金(NiーCrろう)が0.42,NiーCr合金(14Kろう)が0.41となった. さらには私達は, ろう付用フラックスの効果を評価する因子として, フラックス中における金属酸化物の溶解度を調べている. Na_2B_4O.ナ_<7.ニ>ーH.ナ_<3.ニ>BO_3系の試作フラックス4種類に, CuOを混合し, 電気炉中で加熱溶解して, 種々の温度で, 溶融物を採取, 急冷し, その凝固物組織を観察し, CuOの析出する温度を調べている. ろう付強さは, フラックスの組成に影響されるという結果が報告されているが, 私達はこの理由のひとつとして, フラックスの酸化物溶解能力の大小を推定して, この研究を遂行中である.
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