研究分担者 |
橋本 信行 長崎大学, 歯学部, 助手 (50198686)
山辺 芳久 長崎大学, 歯学部, 助手 (90191379)
前崎 正 長崎大学, 歯学部, 助手 (50181574)
野口 和子 長崎大学, 歯学部, 助手 (50172771)
三海 正人 長崎大学, 歯学部, 助手 (20165971)
|
研究概要 |
咀嚼運動系の被調節性質を解析する目的で, 音司令信号に合せた信号負荷下顎tapping運動と持続咬みしめによる条件づけ後の自由下顎tapping運動を動作学的に検討して得た成果の概要は, 以下の通りである. 1.音司令信号負荷下顎tapping運動の調節 (1)1.3Hzの反復司令信号負荷tapping運動時の咀嚼筋EMGと下顎運動曲線を分析し, 当該運動が事後運動調節と即時運動調節によってコントロールされ, 運動誤差の探知作業が咬合接触相で行われていることを示した. (2)信号リズム習得後の信号負荷tappingでは, 運動に伴う閉口筋活動電位の持続時間は無拘束tapping時の当該値より短く, 信号負荷時の方がhabituationが起り易いことが示唆された. (3)0.3, 0.8, 1.3, 1.8, 2.3, 2.8Hzの定頻度反復音司令信号のうち, habituationの観察にもっとも適した司令信号の頻度は0.3Hzであることがわかった. (4)ランダム司令信号負荷tapping運動の調節は0.3Hz定頻度反司令信号負荷時の運動調節に類似していた. 2.条件づけ後のtapping運動の調節 (1)前方および側方偏心位で条件づけした直後のtapping pointは条件づけ方向に偏位した. この効果はtappingを2〜3回反復すると消失した. なお, 後方偏心位で条件づけした後のtapping pointは条件づけをしなかった時の当該位とほぼ一致した. (2)顎偏位方向と咬合接触位が一致したとき上記の条件づけ効果が顕著で, 両者が一致しないときには条件づけ効果が減少ないし消失した. 条件づけ効果には歯牙因子の他に顎偏位因子が関与していることが強く示唆された. 3.以上の結果は, 咀嚼系の被調節性質を解析する具体的手段の確立に必要な基礎的データを提示したものである.
|