研究概要 |
骨形成因子(BMP)とハイドロキシアパタイト(HA)のハイブリッド型骨材料は, 自家骨に匹敵する骨新生体と組織適合生を持つかもしれないという推定のもと, これに関する基礎, 臨床研究を計画した. まず, HAの細胞レベルの親和性を細胞培養法により評価するため, 他の類似材料と家兎口腔粘膜のfibroblastを材料に, 細胞接着率, 増殖率, 密度などを長期培養にて比較検討した. その結果, HAは他の対照に比較して親和性, 適合性においておおむね満足できる成績がえられた. 今後, 細胞を換えて同様の検索を行い確かめていきたい. 一方, HAとBMPのハイブリット骨材の移植実験は, AKRマウス大腿部筋膜内に移植して, 4週でHA気孔内までの新生骨進入を組織学上で認めたほか軟X線像でも確認した. さらに, 62年度はHA/BMPの純度を高めた上で, 移植環境を骨周縁におき, Wistar系ラット(5ヵ月)頭蓋骨の実験欠損創に骨材を移植した結果, 4週でHAの中心に未分化の骨形成がみられ, BMPまたはHA単独群との対比で良好な骨新生体を示した. 以上からHA/BMP骨材は組織親和性, 骨新生体の面から臨床応用の可能性をもつものとして, 検討に値いすると考えられた. 今後の問題としては, かかる補填材としての強度あるいはリモデリングなどの検討に入っていきたい所存である.
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