研究分担者 |
堤 博文 日本大学, 歯学部・法医学教室, 助手 (30188594)
横沢 智 (横澤 智) 日本大学, 歯学部・法医学教室, 助手 (50182689)
高橋 登世子 日本大学, 歯学部・法医学教室, 助手 (50120499)
向山 レイ 日本大学, 歯学部・法医学教室, 講師(専任扱) (40059902)
小室 歳信 日本大学, 歯学部・法医学教室, 専任講師 (50139200)
|
研究概要 |
1.本研究の目的は, パーソナル画像解析システムにより, 多量の資料を自動的に形態分析するとともに, これらを入力保存し, 頭顔面骨と生前写真との重ね合わせ等の, 種々のスーパーインポーズ(S.I.)法による個人同定の客観化と迅速化である. 2.本システムによる計測値の再現性と精度を, モアレ写真の分析により確認した. 3.男子30名の歯列模型と実験的歯痕を画像入力し, それらの切端部を抽出した. 計900の組合わせのうち, まず異同識別指数によって他人由来と思われる組合わせを排除した. 残った組合わせの歯痕と歯列との重ね合わせ像から, 歯の位置的特徴を比較したところ, 異同識別は充分可能であった. 4.実際の犯罪現場に遺留される歯痕は, 通常その身体部分の形態や弾力性等により相当に変形している. そこでヒト前腕部を想定した弾性を持つ, 円筒形の被咬体を作製し, ここに印記された歯痕と, 本人の歯列模型上の各計測値を比較した. その結果, 下顎歯痕の方が上顎よりも変形は著名であることがわかった. また異同識別指数も, 同一人由来と他人由来とが重なる部分が大きくなり, 判定に際してより慎重な態度を要すると思われた. 5.頭顔面骨と顔写真とのS.I.法の基礎的研究として, 男子10名の頭部X線写真側貌像と, 同一基準で撮影された頭顔部側貌写真を本装置に入力し, モニターテレビ上で重ね合わせた. 類似度の判定は, X線写真における骨の最外側の線と, 側貌写真における軟組織の最外側の線をそれぞれ抽出し, 両者の関連をみた. 他人間の重ね合わせ像90例のうち, 前額部, 鼻部, 口部, オトガイ部のいずれかが類似せず, 明らかに他人と識別できたのは82例(91%)であった. 当教室で集積した種々の計測値を利用すれば, 識別の精度は向上すると思われる. 6.S.I.法は, 頭蓋骨, 歯痕の他に, 指掌紋, 足紋, 筆跡等の識別にも応用可能である. 今後もこの装置の幅広い法医学的利用法を継続して検討したい.
|