研究課題/領域番号 |
61480425
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児・社会系歯学
|
研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
樋出 守世 国立予防衛生研究所, 歯科衛生部・生化学室長 (60072906)
|
研究分担者 |
前川 秀彰 (前川 英彰) 国立予防衛生研究所, 技術部, 放射能室室長 (60100096)
今井 奨 (今井 奬) 国立予防衛生研究所, 歯科衛生部, 主任研究官 (80072958)
高江洲 義矩 東京歯科大学, 口腔衛生学講座, 教授 (60048303)
|
研究期間 (年度) |
1986 – 1988
|
研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
|
配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1988年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1987年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1986年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
|
キーワード | ヒト第三大臼歯 / Sr-90 / 経年推移 / 安定Sr / ^<90>Sr / ヒト歯牙 / Srー90 / 微量素 / 蓄積 / ストロンチウム-90 / 永久歯 / 蓄積量 |
研究概要 |
わが国は原子爆弾の唯一の被爆国であることもあって、放射能による環境汚染に対する関心が強い。過去大気圏内核実験は1985年までに466回行なわれている。その結果、広島、長崎型原爆の約1万発分の放射性核分裂物質が大気圏に放出された。これらはいわゆる放射性降下物となって地上に降下し、地表を汚染した。fall outのうちで特に問題となるのは半減期の長い^<90>Srと^<139>Csである。これらは飲食物を介して人体にとり込まれる。 ^<90>SrはCaと同族のアルカリ土金属であるので、Caの代謝に伴ない人体の硬組織にとりこまれる。骨では代謝のため蓄積^<90>Sr量は一定しないが、歯では代謝されずそのまま蓄積される。したがって歯牙は過去の^<90>Srの重要な指標物質となる。この考えで、報告書らはヒト大三大臼歯を長年にわたって収集し、これを抜歯年別、抜歯年令別に分別した試料を構成し、それらの中に蓄積された^<90>Srを定量し、経年的推移を調べた。 その結果、大三大臼歯中の^<90>Srは生年1940年頃より急激に上昇し、1961〜1962年にかけて一たん低下し、1963年にピークに達した。^<90>Srの放射能強度は歯牙の提供者の年令12才時点に補正した値で、3.02pCi/gCaであった。その後急激に減少し、1968年では1pCi/gCaまで減少した。生年1900〜1924で抜歯年令が40〜69才代の歯牙には非常に低レベルの^<90>Srが認められた。 安定Srも定量した結果、経年的に減少する傾向が示された。 歯牙の^<90>SrとFall outのそれの経年推移を比較すると、両者は非常に良い一致を示した。環境中の^<90>Srのピークを1964年と考えると、歯牙でのピークとのズレは11年であった。すなわち1963年生まれの人の大三大臼歯は、生後9年で石灰化を開始し、12才頃に環境濃度のピークに遭遇し、高濃度の^<90>Srを蓄積したものと推定される。以上の研究により、歯牙は環境汚染の重要な指標物質になり得ることが示唆された。
|