研究概要 |
略号 CaM=カルモデュリン (1)各種複合体の結晶化:a)Ca^<2+>-CaM-トリフルオペラジンまたはクロルプロマジンの三元複合体の再現性良い結晶化条件を確立した. b)Ca^<2+>-CaM-Xリチンの三元複合体の結晶化にも成功し, X線結晶学的な同定も行った. c)Ca^<2+>-CaM-マストパランの三元複合体については, 球晶を得るに止った. d)上記a)の複合素について, 数種の他の薬物も試み, 別の結晶形に誘導しようとしたが, 同形のものしか得られなかった. (2)Ca^<2+>-CaM-クロルプルマジン複合体結晶のX線解析の試み:a)この結晶の長いc軸(178A2F2(コード))が通常の自動回折計による強度測定に際して重大な障害となることを計算機シミュレーションによって予見したが, 実際, 使用に堪え得るデータは4A2F2(コード)分解能程度までであることを体験した. シンクロトロン放射光による発散性の少ないビームの使用も試みたが, 実験ハッチの温度上昇のため良いデータはとれなかった. 今後二次元的な検出器による測定に切りかえる予定である. b)重原子同型置換体としてはK_2PtCl_4とPb(CH_3COO)_2であることを確認した. (3)イオン交換HPLCによる複合体の分離:Ca^<2+>-CaM-メリチン複合体のみがDEAE-5PWカラムを用いたAPLCにより検出され, マストラパラン及びその誘導体では有免な結合が保持されていないことが示唆された. (4)メリチン, マストラパラン, マストラパラン誘導体(T'-14, T'-11)についての生化学的研究:a)メリチン, マストラパランはCaM-Sepharoseと同程度結合するが, 同一条件下では, マストラパラン誘導体は結合が減少している. b)メリチンに見られる溶血活性は, マストラパラン及びその誘導体では顕著な活性は認めされなかった.
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