研究概要 |
アミノ酸のα-アミノ基を脱離させる酵素のおおくは, ピリドキサルリン酸を補酵素として要求し, シック塩基の形成を経由して反応が進行する. これに対して本研究でとり扱うアスパルターゼはシック塩基に依存せず, 全く別個の機作で脱アミノを触媒し, マイケル付加タイプの不斉合成反応として有機化学の見地からも興味深い. 本研究においてはシック塩基依存性のピリドキサル酵素との対比の下にアスパタルターゼの分子構造と反応機作の解明に向けて種々検討し, 下記の成果を得た. 1.トリプトファナーゼの分子構造と活性発現機構に関する研究 大腸菌の本酵素の活性発現と関与するK^+, NH_4^+などの一価カチオンがホロ酵素の活性化と安定化に関与することを見出した. さらに蛍光プローブを用いた解析により, 一価カチオンの効果発現にシステインー298が関与することが判明した. またクロラミンTを用した研究で, メチオニン残基も本酵素の活性発現に関与することが明らかになった. 2.アスパルターゼの分子構造と活性発現機構と関する研究 (1)シュードモナス菌からさきに高度精製均一化と結晶化を達成した本酵素の遺伝子のクローニングを塩基配列決定により, 全一次構造を推定した. またコンビューター解析により, 大腸菌とシュードモナス菌の本酵素を反応機構上類似しているフマラーゼの一次構造が高い相同性を有することを見出した. (2)土壊菌から梅沢士が学離した抗生物質S-2, 3-ジカルボキシアジリデインがフマラーゼと同様にアスパルターゼも強く阻害することを見出した. (3)フマルアルデヒド酵が本酵素を失恬させることを見出した. (4)大腸菌本酵素のシステインー430を遺伝子操作によりトリプトファン残基に変換し, 酵素学的特性を詳細に解析した.
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