研究概要 |
1)大塚研究室において開発したメチル化オリゴヌクレオチドの固相合成法により, 12ヌクレオチドの2′-O-メチルオリゴヌクレオチドを7種類(ANTIR-1〜7)合成した. これらは, ヒトβグロビンの第1エクソンー第1イントロンー第2エクソンの薬500ヌクレオチドとその3′側に結合したポリリンカー領域からなる546ヌクレオチドのRNA前駆体の7つの領域のいづれかに相補的な配列を有する. ANTIR-1, 2は第一エクソンANTIR-3はdonor siteに相補的である. ANTIR-4, 5はイントロン内部で特別なスプライシング信号を有しないと考えられる部分に相補的である. ANTIR-6は第2エクソンに, ANTIR-7は3′末端のポリリンカー部(エクソン相当)に相補的である. 2)上記RNA前駆体を^<32>Pで標識したものをin vitro転写によって調整した. これと約1000倍量のANTIR-1〜7のそれぞれをhybridizeし, エタノール沈澱した後, 再び1000倍量の同じANTIR-1〜7を加えた. このRNA混合液にHeLa細胞抽出液を加えて in vitroスプライシング反応を行ったところ, 予備的な結果であるがANTIR-3の他2及び6によってスプライシング(主として第2段階)の阻害が見られた. ANTIR-1, 4, 5によって阻害がなかった. 阻害が見られたのは, ANTIR-3以外では, 5′側及び3′側のエクソン上で比較的イントロンに近い部分に相補的なRNAについてであり, この結果は単純なスキャニングモデルとは一致しない. 今後, 結果を確定し阻害の原因を明らかにしたい.
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