研究概要 |
ラット視床下部における下垂体後葉ホルモン産生ニューロンおよび前葉ホルモン分泌調節ホルモン(視床下部ホルモン)産生ニューロンの2種類の神経分泌ニューロンに対するアミン性, GABA性およびペプチド性神経支配(シナプス入力)について, 二重免疫染色法およびオートラジオグラフィーまたは5-OHDA標識法と免疫染色の組合せ法を用いて電顕的に観察した. 1)後葉ホルモン産生ニューロンとしてバゾプレッシン(VP)とオキシトシン(OT)産生ニューロン, 2)視床下部ホルモン産生ニューロンとして性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH), 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)および成長ホルモン放出ホルモン(GRH)産生ニューロンについて, それぞれの神経支配を調べた. 成果と考察:1)VPニューロンに対しては, カテコールアミン(CA)合成酵素であるチロシンハイドロキシラーゼ含有終末のシナプス形成は観察されたが, アドレナリン合成酵素であるフェニルエタノラミンN-メチルトランスフェラーゼ含有終末のシナプス形成は未確認である. GABAおよびセロトニン含有終末は共にVPおよびOT含有ニューロンにシナプスを形成しているのが観察された. VPニューロンの分泌や他の機能がアドレナリン以外の或種のCAニューロンによって制御されている可能性およびVPとOTの両ニューロンはGABAおよびセロトニン系ニューロンによっても制御されている可能性が示唆された. 2)視床下部ホルモン系ニューロンについては, GRHニューロンへの^3H-NAまたは5-OHDA標識終末とTRH含有終末のシナプス形成, CRHおよびLHRHニューロンへの^3H-NA, 5-OHDA標識終末のシナプス形成がみられた. この結果, GRH, CRH, LHRHニューロンのCA性神経支配, さらにGRHニューロンのTRH性神経支配の存在が明らかにされた.
|