研究概要 |
I.エストロゲンのラット肝細胞でのコレステロールおよびリポ蛋白代謝におよぼす影響 ラットに17のエテニルエストラジオール(以下EE)を投与すると, 血清中コレステロール, トリグリセライド, リン脂質は低下した. EE投与により, ラット肝細胞リポ蛋白-レセプターは増加しており, この時培養肝細胞中の総コレステロールおよびコレステロールエステルの増加がみられた. EE投与の培養肝細胞からの総コレステロール, コレステロールエステル, トリグリセライドの分泌には変化がみられなった. 肝ミクロゾーム分画のHMGCoAreductase活性を測定すると, EE投与によりHMGCoAreductase活性は低下していた. このことより, 血清脂質の低下は肝へのレセプターを介しての取り込みの増大と考えられ, このような条件下では肝でのコレステロール合成が抑制されることが明らかとなった. II.脂肪酸(パルミチン酸, リノール酸)のハムスターにおけるコレステロール代謝におよぼす影響 ハムスターに, 外因性コレステロールを負荷し, またグルコールを投与し内因性コレステロール合成を高めた状態で, パルミチン酸とリノール酸を添加すると, パルミチン酸投与により血清コレステロールが増加した. 肝におけるコレステロール合成は, 内因性合成を亢進させた状態では, パルミチン酸はコレステロール合成を一層亢進させた. 胆汁脂質では, パルミチン酸で胆汁中コレステロール排泄が亢進し, 結果としてコレステロール飽和度が増加した. 脂肪酸の違いによりコレステロール, 胆汁酸代謝が異なることが明らかとなった.
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