研究概要 |
脳内モノアミンは高次機能の調節に関っており, 脳各部位におけるモノアミン神経の活動を無麻酔, 無拘束で連続的に測定することが必要である. 脳各部位のうち, 線条体はドーパミン, セロトニン, アセチルコリン, アミノ酸, 神経ペプチドなとでコントロールされている. 本研究では, 以下の3つの方法により研究を行った. 第1の方法は微小炭素電極を用いるボルタメトリー法である. この方法はDA, セロトニン及びそれらの代謝物を酸化し, その時に流れる電流量から伝達物質の量を測定する方法である. 電極が微小であり, 脳内へ挿入しても, 脳組織の損傷が少く, 生理的条件下での神経活動が測定できる. この方法で, 脳線条体, 孤束核のDA神経の活動について研究を行った. これら2つの脳部位は異った神経活動を示し, 情動, 回転運動の関係が考えられた. 第2の方法は, 脳内へ微小透析膜を挿入して, 神経終末から放出される神経伝達物質を経時的に集め, 分析する方法であり, Draim-dialysisといわれている. この方法は透析膜を通過する物質はすべて定量でき, 近年多くの研究者に用いられている. 私達は, この方法を用いて線条体内のアセチルコリン神経とドーパミン神経終末の相互作用を解明した. ラット脳内では, DAの終末には, DAの放出を促進させるニコチン性受容体とムスカリン性受容体の一種類M1が存在することを明らかにした. 一方, ラット脳線条体内にはアセチルコリンの介在ニューロンが存在するが, このニューロンから放出されるアセチルコリンをDraim-dialysis法により初めて測定できるように開発した. 第3の方法は従来行われている脳組織内神経伝達物質の量が何で変化するかについて検討を行った. その結果, ケイレン薬が脳内各部位で神経伝達物質の放出量を変化させていることが私達の研究から判明した. これら各々のデータを組合わせ, 画像解析する事が今後の課題である.
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