研究概要 |
昭和62年度は,2年計画で進めた本研究の最終年度にあたり,第1年の研究成果を踏まえて,つぎの研究作業を執り行なった. 1 都市圏人口の動学的変化過程を対象として,「都市圏のライフサイクル仮説」に照らしつつ,日米間の比較分析を行なった. この分析では,米国の大都市圏を人口規模の大きい順に30選び,それらが見せる逆都市化現象の特性を,日本の30大都市圏と比較した. その結果,つぎの諸点が判明した. (1)米国の30大都市圏のうち,約3分の1にあたる9大都市圏が,1970年代後半には逆都市化の状況を見せるに至った. (2)米国の大都市圏が逆都市化段階を迎えるおよそ20年前に,都心部人口の減少が先行的にみられた. (3)ロキシー指標の値を比較すると,日本における30大都市圏人口の変化動向は,米国の30大都市圏人口の変化動向にタイム・ラグを伴なって追随しており,日本の都市圏システムが近い将来逆都市化現象を呈する確率は大きい. 2 空間的サイクル・モデルの脈絡の中で,わが国の都市圏内ロキシー指標分析と,都市圏間ロキシー指標分析を行なった. その結果,都市圏内地域が見せる空間的ライフ・サイクル現象と,都市圏システムが見せる空間的ライフ・サイクル現象の間には,密接な関係が存在することが明きらかになった. 3 逆都市化時代をひかえた我が国の都市圏システムを念頭において,的確な都市政策の在り方を具体的に考察した.
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