研究概要 |
1.教室での教師・児童の相互作用について 16学級から1学級10名ずつの学力水準の異なる児童を選択し, 3ないし4時間の算数の授業中の行動を, 個別・相互作用(対教師)・相互作用(対仲間)の18下位カテゴリーでチェックした. また, 16学級全児童に, 学力規定要因の自己認知調査, 学級特徴調査, 学級・家庭適応感テスト, 学習関連人格特性テストを実施し, 学業成績・標準学力検査・知能検査結果も入手した. 主要な結果は以下のようである. 1)学力水準による行動の差は「他者学習」に見られただけで, 低学力者に必ずしも授業無関連行動が多いわけではない. むしろ男女差が大きく, 学級差が多くのカテゴリーに見られた. 2)学力が低く授業中に無関連行動の多い児童は, 低学力の理由を授業への集中力・宿題の実行・理解力などの欠如に求め, 無関連行動の低い児童は授業への積極的参加・注意力・興味などの欠如を低学力の理由にしている. 3)学級特徴調査によると{学級の秩序}{教師指導への信頼}尺度得点の高い学級は, 課題関与行動を多くした. しかし, 学力・成就値また学級適応感の高い学級は必ずしも{学級の秩序}得点の高い学級ではなく, {教師統制}と{教師指導への信頼}の高い学級であった. 2.実験的教授プランの構成について 数学級の実態予備調査の後, 学力の低い児童にも分かりやすく興味深いと思われる複数の教授プランを「比と割合」の単元について作成した. 論理的検討の結果最善と思われる1プランを上記行動観察の1学級で担任教師が実施した. 併せて授業中の児童の行動及び学力テスト結果を入手した. 結果の交差分析等に基づき, 同プランの問題点を明らかにし, 修正案を作成して新たな実証授業を計画している.
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