研究概要 |
(1)前年度の実験の継続. 10.5秒および30秒をそれぞれ3刺激をランダム提示する場合の「休止時間間隔」とし, 2時間にわたる連続作業を行わせた. 3刺激(赤, 青, 黄)選択反応事態におけるパフォーマンスについてみると, 最終的に両条件各10名の被験者において, 選択反応時間が有意に漸増する傾向が見出された. 作業は, 被験者の内観報告によってみても, 単調な作業であると解釈されるが, 刺激への応答以外に無作業状態で10.5あるいは30.0秒の間, 休止(休息)することは, 従来指摘されてきているような「その後の作業へ促進的効果をもたらすような意味での休息効果」をもつとは限らぬことが示唆された. 上述の実験と並行して, 2つの休止時間間隔条件のそれぞれにおいて「別種作業(実験者から選択反応ごとに口頭で知らされる自分自身の反応時間を聴取し復唱する作業)」を介在させる実験を両条件各10名の被験者について行った. その結果, 1.反応時間が促進される(パフォーマンス低下が抑止される)こと, 2.反応時間の聴取・復唱作業が成績回復への動機づけ効果あるいは中枢機能の覚醒特効果等を有することが, 前記の「別種作業」を介在させない, いわゆる統制実験結果との比較によって明らかになった. (2)モニター(監視者)効果を正反応への運動プログラム形成条件との2要因計画のもとに検討した. 監視カメラの作動と実験者の同席観察は必ずしもパフォーマンスの統御には影響を及ぼすとは認められないこと, 他方, 正確な選択反応への運動プログラムを形成した条件においては, 後続の選択反応作業におけるパフォーマンスの低下が抑止されると思われることが, 何れも対照実験の結果との比較により, 示されつつある. (3)「覚醒水準の維持効果」が想定される条件において, 脳波の連続記録を行い, 分析を継続中である.
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