研究概要 |
1)姿勢の場合:61年度の研究で, ノンバーバル行動の中の姿勢という視点では, 基本的な姿勢(自信, 拒絶, 落胆, 基準)について, その姿勢が被験者自身にどのような影響を及ぼすか, その姿勢が他者にどのように影響するか, 気分, 意識性, 臨場感について評定尺度などを用いて多次元的に分析を試みた. その結果, 実際にある姿勢をとった場合とイメージで同じ姿勢を思い浮かべた場合とでの意識性や臨場感の評定に顕著な差異がみられず, 状況設定評定の際の姿勢, 評定尺度の問題等が指摘された. 次年度研究では, 姿勢が自己に及ぼす影響についてさらに追究した. ある姿勢をとったらそのままの姿勢で評定をさせた. 姿勢は, 躯幹と顔面の角度を変化させることにより, 6種類の姿勢について検討した. 背筋, 腰を曲げ, 顔を下方に向けると, 意識性は暗く, 沈んで, 生気のない, 自信のない, 静的な気分になり, 背筋, 腰を伸ばし, 顔を上に向けると, 積極的な, 生き生きした, 若々しい, 健康な, 晴やかな気分になると評定された. 2)パーソナル・スペースの場合:パーソナル・スペースについては, 従来からの徐々に近づくという極限法的測定方法をとらず, 相手との距離をランダムにとる恒常法的方法により, 気になる程度を測定した. 各距離での気になる程度の平均値は直線的な関係が得られ, 従来の結果と類似の傾向を示した. 近づく者と近づかれる者の気分, 意識性に相違がみられ, 同性, 異性の組み合わせにより気になる程度の評定に差がみられた. また, 近づく実験を1回2回と繰り返すと, 男女で気になる程度の変化の仕方が異なる傾向がみられた.
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