研究課題/領域番号 |
61510063
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
市原 茂 中京大学, 文学部, 講師 (90137018)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1986年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 空間周波数 / 多重チャンネルモデル / 振幅変調波 / 空間周波数に選択的な順応 / 空間周波数の見えの変化 |
研究概要 |
ある空間周波数(fc)の正弦波に、これよりもはるかに低い周波数(fm)の余弦波をかけあわせると振幅変調波となる。振幅変調波の包絡線の周波数はfmであるが、振幅変調波を周波数解析してみると、そこに含まれる周波数成分は、fc(これを搬送波という)と、fc-fm、fc+fm(これらを側波帯という)の三つで、fm(信号波)は、成分としては存在しない。そこで、このような振幅変調波パタン(縞)を長時間観察した後で、様々な周波数の空間正弦波パタンを提示し、そのコントラスト閾や空間周波数の見えの変化とを測定した。その結果、コントラスト閾や空間周波数の見えの変化に影響を与えるのは、振幅変調波パタンの構成要素である搬送波(fc)であることがわかった。振幅変調数パタンの包絡線の周波数である信号波(fm)は、ほとんど影響を及ぼさなかった。視覚マスキングという別の現象では、信号波(fm)の影響が強く生じるという報告もあるが、今回の順応の結果は、それは否定するものであった。 以上より、視覚系が入力刺激に対して周波数解析をする前に、入力刺激の強度(輝度)に対して非線形な変換を行っているという考え方は否定された。むしろ、順応と視覚マスキングに関係する視覚系の処理レベルが多段階になっており、まずはじめの段階で、空間周波数チャンネルによる空間周波数解析がなされ、次の段階で、各チャンネルからの出力を変換し、振幅変調波パタンにおける信号波成分の知覚が、その段階ではじめて可能になるのではないかと考えた。そして、順応は、はじめの段階における処理と関係し、視覚マスキングは、後の段階と関係するのではないかということである。
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