研究概要 |
擬音・擬態表現はコトバによる感覚量の表現ともいえ、特異な内的感覚尺度を有している。擬音・擬態語は感覚の量や質を表現するマグニチュード表現が多く認められ、それらはプロセティック連続体及びメタセティック連続体上に位置づけられると思われる。例えば、「キラキラ」と「ギラギラ」は主に感覚の程度(プロセティック連続体)と関係するのに対し、痛みを表わす擬態語「ズキズキ」と「チクチク」は主に痛み感覚の質的な差異(メタセティック連続体)を表わしている。本研究の目的は多くの擬音・擬態語をゆるやかな尺度の中でとらえて、多次元的な感覚(感情)尺度を与えようとするところにある。 (1)手続き-469語の擬音・擬態語を収集し、290名(男100人、女190人)の被験者から連想反応をとり、その全反応語(13万6千語)から連想順位表を作製した。さらに、469語×13万6千語の巨大マトリックス(頻数をデータとする)を入力データとして、刺激語に基づく主成分分析を行なった。また、析出された因子に基づき特定語群についてMDSによる尺度化を行なった。 (2)結果-469語×290名×13万6千語のデータをデータベース化し、(【i】)反応語に基づく連想順位表と(【ii】)刺激語に基づく逆検索表を作った。それに基づき、主成分分析した結果8〜10個のクラスタが析出され、擬音・擬態語の大枠の潜在構造が推定された。次に、各クラスタ内(痛み、明るさ,笑い,目の動き,など)の刺激語について別に100名前後の被験者を用いて多次元尺度分析(ALSCAL,INDSCAL法)にかけた結果、擬音・擬態語の表現の多次元的な尺度空間及び空間座標が明らかにされた。
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