研究概要 |
レム睡眠リズムに関する諸仮説のうち(1)睡眠非依存(sleep independent)仮説, (2)睡眠依存(sleep dependent)仮説, (3)リセット(re-set)仮説の3仮説の適合性を, 夜間睡眠中の中途覚醒法を用いて得られたデータにより検討した. 中途覚醒法により約60分覚醒させた後, 再入眠させると, 25分内にレム睡眠が出現する入眠時期レム睡眠期(SOREMP)が約3割に見られた. このSOREMP群(S群)と, それ以外のNon SOREMP群(N群)とを別個に各仮説適合性を検討した. まず, S群は, (1)(2)(3)仮説とも適合せず, SOREMP発現機序は, 中断以前のレム睡眠リズムとは独立であり, かつ単純なリセット仮説によって説明できるものではなかった. N群については, (1)の睡眠非依存仮説には全く適合しなかったが, (2)の睡眠依存か(3)のリセットかの判定は困難であった. しかし, (2)(3)とも統計的な検討を加えると, 両仮説への適合性は低く, 新たなレム睡眠リズムに関する仮説を提起する必要がある. それは新リセット仮説として次のとおりである. レム睡眠リズムの中断によって, レム睡眠リズムはリセットされる. 再入眠後はSOREMPがNon SOREMPかに分岐するが, 両者ともレム睡眠の出現形式としては特異なものではない. SOREMPの出現確率は, 以下の諸条件で変動する. i)中断前の徐波睡眠量か多ければ出現率は増加する. ii)中途覚醒の時間(先行する睡眠の終了から次の睡眠の開始までの時間)が長ければ出現率は減少する. 以上のi)ii)の要因により, 通常の夜間睡眠ではSOREMPの出現率は最小となる. また, iii)レム睡眠のサーカディアン効果によりSOREMPの出現確率は変動する. iv)中途覚醒したタイミングが, 次のレム睡眠に近ければ近い程, SOREMPの出現確率は高まる.
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