研究課題/領域番号 |
61510088
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
西山 茂 東洋大, 社会学部, 助教授 (00092528)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 新宗教 / 終末預言 / 宗教運動 / 社会的危機 / 天皇制神話 |
研究概要 |
本研究では、新宗教における終末預言運動を、特定の社会的危機に対する宗教的応答の一様式として捉え、そうした危機と応答の特徴や両者の関連構造を、事例比較を通して社会学的に解明するべく、具体的な調査研究がおこなわれた。その結果として明らかになった諸点は、おおむね以下の如くである。 (1)明治37年の出口なおの「筆先」による終末預言にはじまり、大正10年の第一次大本事件におわった大本教の「明治55年(大正11年)立替え」説にもとづく終末預言運動は、我が国における資本主義的近代化に伴う日露戦争後から大正10年前後にかけての伝統的共同体の崩壊と諸種の社会的矛盾(小作争議・労働争議など)および大正3年に勃発した第1次世界大戦等による大衆の苦難と不安の感覚への宗教的応答であり、その応答が天皇制神話の枠を著しくはみ出し、かつ民衆の苦難解決願望を投映したラジカルな政治性を有していたが故に、国家の大弾圧を招来したといえる。なお、昭和3年と同13年の2度にわたって、天理教教祖中山みきの「筆先」等に由来した一大国難到来と甘露台世界建設の道程を示す終末預言運動を展開して大弾圧を受けた「ほんみち」の運動は、世界大恐慌前夜の昭和初期の社会経済的危機と昭和11年の二・二六事件や翌年の日中戦争の開始という軍事的危機への宗教的応答であり、その特色は大本教の場合と同様に反天皇制的神話の構造にあったといえる。 (2)これに対して、昭和37年から地球が「火の洗礼期」に入ったとする宗教真光や、今世紀末に「ムー大陸の浮上」があり世界各地が水没するという慈永堂、さらには、昭和56年に観音のお告げでソ連の日本侵略と核戦争の勃発があるとする観音堂などの運動は、天皇制とは無関係な今日的人類的な危機への応答のようである。
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