研究課題/領域番号 |
61510112
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
湧井 豊 上越教大, 学校教育学部, 助教授 (50018769)
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研究分担者 |
星名 信昭 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (10000275)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 自閉症 / 聴覚障害 / 頭声 / 基本周波数 / ピッチ / 聴覚フィードバック回路 / サウンドスペクトログラフ / ピッチエクストラクタ |
研究概要 |
本研究は、自閉症児にしばしばみられる非常に高い発声(頭声)が、聴覚障害児の特徴といわれる頭声発声と聴覚的に大変よく似ている印象を実際に音声分析によって確認し、比較検討することを目的として行われた。 対象児は自閉症児10名、聴覚障害児30名である。自閉症児の音声は自由遊びや、課題学習場面での心理的なストレスを受けた際に発する叫声を録音収集し資料とした。聴覚障害児については、頭声発声のみられる子どもを迸出し、母音を発声させたものを録音し資料とした。録音した音声サンプルの再生音声についてサウンドスペクトログラフ、ピッチエクストラクタにより図形的な特徴とピッチを抽出し、新規に購入したNEC-PC9801Vmパーソナルコンピューターによる分析を行った。その結果、自閉症児の叫声は第1フォルマントが異常に強調され、第2、第3フォルマントが確認できないパターンを示すものが多く、聴覚障害児の頭声の分析結果とは一致しなかった。また、基本周波数については変動量が多く、一定の測定値をあげることができなかった。このことは、聴覚フィードバック回路の未熟さによる要因が大きく働いているものと考えられるが、自閉症児と聴覚障害児では現象的に似ていても同質ではないことを示唆している。 以上のように、本研究は聴覚的な印象で大変よく似ている自閉症児の異常に高い叫声と聴覚障害児の特徴といわれる頭声を音響分析した結果が必ずしも一到しなかった。これは聴覚障害児が生理的な要因によって喉頭(声帯)を過度に緊張させ、ピッチの高い緊迫声となりやすいのに対し、自閉症児の叫声は心理的な因子が大きく関与するものと考えられる。このことから自閉症児の心理的なリラックス状態での音声資料、正常幼児の叫声を追加収集し音響学的に分析・比較検討することを目的として、更に本研究を継続する必要があると思われる。
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