研究概要 |
小学生における心身症状, 行動の問題などの出現状況を, 高学年と低学年, 性差などで比較した. また生活と遊びの内容さらにそれらと心身症状との関係について検討した. 対象は奈良県下-小学校全生徒704名(男子337名, 女子367名)と大阪府下-小学校1570名(男子824名, 女子746名)を選び, 心身症状・生活状況全般に亙るアンケート調査をおこなった. その結果, 遊びについては, 男女差があり, 多様であるが, 特徴的なことは女子ではゴムとび, 人形遊び, バトミントンなどが目立つが, 男子では野球, ソフトボール, 釣り, 虫とり, サッカーのほかゲームコンピュータが圧倒的に多く, 6年生では男女とも遊びのトップを占めている. 性差では頭痛, 乗物酔, 腹痛, 便秘の各項目で女子に多く, 下痢, 夜尿, 鼻漏など7項目について, 男子の方に有意に高い出現が認められた. 年令差では, 男子低学年では夜尿, 昼尿など8項目で男子高学年より多く, 頭痛, 肩こり, 乗物酔, 寝つきが悪いで高学年男子に高い出現頻度が示された. 一方女子では, 下痢, 食欲がないなど7項目で低学年の出現率が高く, 頭痛, 肩こり, 乗物酔の各項目で高学年に出現が高かった. 睡眠と心身症では, 寝おきの悪い子どもに便秘, 夜尿など10項目で有意に高い出現頻度が示された. 寝つきの悪い子どもでは, 乗物酔, 長い間立っていると倒れる, 食欲がない, 偏食, 疲れやすいなど15項目に有意の差が認められた. 食事動作では遅い子どもに食欲がない, 偏食, 寝起きが悪い, 無気力, 甘えたなど13項目で高い出現頻度が示された. 友達では少ない子どもに食欲がない, 神経質など7項目で有意な差がみられた. なおゲームコンピュータについても毎日する子にそれ以外の子どもと比較して目をパチパチさせるなど6項目について有意差が指摘できた.
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