研究課題/領域番号 |
61510158
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宇吹 暁 広島大, 原爆放射能医学研究所, 助手 (10110462)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 原爆被害 / 戦争体験 / 戦争文学 / 被爆者団体 |
研究概要 |
原爆手記の過去40年間の出版状況を知るため、広島・長崎両市内の公共図書館・被爆者団体および国立国会図書館・大宅壮一文庫・日本原水爆被害者団体協議会などの調査をおこなった。その結果、約18400点の原爆手記(それらを掲載している書・誌数は約1870冊)の存在を確認することができた。 これらの手記を出版年別にまとめてみると、1982年以降、多数の手記が出版されるようになったことが明らかとなる。中でも、1985年には、1年間に2782点という多数の手記が出版された。一方、手記の出版主体に注目すると目立つのは、被爆当時の広島・長崎に存在した施設・機関・団体によるものと、地域単位の被爆者団体によるものであり、両者を合せれば、全手記のほぼ半数におよぶ。また、1982年以降の手記数の増加は、主に広島県内の地域被爆者団体の出版によるものであった。 原爆手記の出版状況の分析から明らかになった第1点は、被爆者の間に、手記を書き残そうとする意欲が広汎に存在していることである。第2点は、これまで主に被爆者検診集団として存在してきた地域被団協が、手記集の出版を通して、原水禁運動や平和教育との接点を持つようになっていることである。第3点は、地域単位の被爆者団体の手記集が、これまで組織的・系統的に解明されていない各市町村と原爆被害とのかかわりを明らかにしつつあることである。 以上の詳細は、第16回地域・自治体問題全国研究大会において報告した。今後は、原爆手記の内容をより具体的に検討するため、原爆手記の収集を続けるとともに、既収集の手記のデータのコンピューター化をおこないたい。 なお、原爆被爆者の証言を主テーマとしたテレビ番組のビデオ・テープはこれまでに約100本収集しているが、この作業も継続してゆきたい。
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