研究課題/領域番号 |
61510203
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
川越 俊一 奈良文化財研, その他, その他 (20090376)
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研究分担者 |
井上 和人 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 研究員 (60110087)
安田 龍太郎 奈良国立文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (10099963)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1986年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 黒色土器 / 瓦器 / 土師器 / 漆器 / 磁器 / 法量の矮少化 / 絵巻物に描かれた食器 |
研究概要 |
1 全国主要遺跡出土の中世食器を材質ごとに集成し、法量の矮少化という観点から検討を加えた結果、土製食器(黒色土器、瓦器、土師器)では11世紀から14世紀の間に、口径15cmあったものが8cm前後となり、従来の機能を失なう。一方、漆器、磁器の場合は、その間に約2cm前後小さくなる程度であり、それほど法量の矮少化が認められないことを確認した。 2 中世絵巻物に描かれた食器の材質を検討した結果、大半の食器は漆器として描かれていること。各時代の絵巻物に描かれた食器に法量の矮少化現象は認められないこと。さらに食器使用者の階層差は、特別な場合を除いて、食器の材質の差としてではなく、使用食器の数の相違として表現されていることを確認した。 3 以上のような資料整理の結果から、中世的食器の器種構成は、基本的に椀と大小の皿からなり、その後法量が矮少化し、13世紀後半から14世紀にかけてその構成が崩壊していくという通説は土製食器のみに成立するものであり、漆器、磁器の食器には認められないとの結論に達した。食器の材質による法量の矮少化の相違は、土製食器が漆器へと材質転換された結果と理解され、その交代期は、土製食器と漆器の法量のほぼ等しい13世紀中頃と考えられる。従って、中世的食器の器種構成は、従来主張されているように13世紀から14世紀に崩壊していったのではなく、単に土製食器から漆器へと材質の転換が行われたものであり、その器種構成は、近世国産陶磁器の製産まで引き続いていたと考えられる。
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