研究概要 |
本研究の目的は、(1)山王関係資料の基礎的な整理を行い、研究資料として活用できるようにすること及び(2)「山王縁起」を分析し、本書と他の山王関係資料との関係を明らかにすることの2点であった。 (1)については、叡山文庫(大津市坂本)、教林文庫(早大図書館)、内閣文庫、東大史料編纂所の資料を中心に書誌調査を行い、山王神道関係資料の概要の把握に努めた。この結果、約200点の資料を調査し、国文学の立場からの研究資料としての適否を判断した。また、その結果を「山王関係資料目録稿」として、「調査研究報告(国文学研究資料館文献資料部)」に発表する。また、必要な資料で入手可能なもの約20点については、紙焼写真で入手し、研究資料として活用している。さらに研究資料の整備の一環として中世山王神道資料の中で、国文学との関係の深いものを3点活字翻刻し、研究資料として提供する。 (2)の「山王縁起」に関連しては、諸本の収集と校合・整理を行い、定本作成の基礎作業を終えた。収集分析したテキストは、内閣文庫本,教林文庫本2本,叡山文庫本,群書類従本,妙法院本,東大図書館本の7本であった。 1年間の研究期間であったが、ほぼ初期の目的を達することができた。しかし、資料の整理に関しては、調査を進めると共に、新しい資料の発見があり、今後さらに範囲を拡大して調査研究を進めねばならない。また、「山王縁起」について言えば、山王関係資料の中にしめる位置、成立基盤の究明を行うと共に、文学的特質を明らかにして行くことが必要である。
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