研究概要 |
中国語におけるXYY型形容詞は, 形態上, 語幹形容詞プラス接尾辞(くり返し型)という極だった特徴がある. XYY型形容詞は形容詞を二分する性質形容詞と状態形容詞のうち後者に属する. 例えば"紅"hongは性質形容詞であるが, "紅通通"hong tong tongは状態形容詞である. 後者は, "紅"という性質を肯定的に認定し, さらに「いかように"紅"なのであるか」という"紅"のあり様を描いている. いわばXYY型形容詞は, その語のうちに話者の当該性質に対する肯定的認定というモダリティを含むと言える. このため次のような文法的諸性質をもつ. 1)"不"による否定ができない. 2)"程度副詞"の〓を拒む. 3)反復疑問文をつくれない. 4)重ね型にすることができない. 5)直後に"的"を伴う. 6)謂語, 補語, 定語, 状語になることができる. 5)の"的"の有無については定語になる場合の的_1, 状語になる場合の的_2, 謂語・補語になる場合の的_3, がある. 的は省略されることがあるが, その恣意性は謂語・補語>状語>定語の順である. 定語のあとの的_1の省略は一定のルールに従うが, それ以外の的_2, 的_3の省略はかなり随意的である. XYY型のXに立てない形容詞が存在する. 二音節のものはすべて生起できないが, 単音節の"多, 少, 早, 晩, 〓, 近, 快, 〓, 全, 貴, 〓, 真"など, 常用の形容詞が多いことが注目される.
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