研究概要 |
・科学研究費を得たことで, 中世演劇に関する図書・資料を購入できたことにより, 昭和61年度は, グラスゴー大学で開かれた「中世の祝りと宴」をテーマとしたフォーク・ロア・ソサイアティの学会で, ヨーク・サイクル劇にみられる祭りの要素について学会発表した. この発表により, 日本でもイギリス中世演劇がかなり行われていることを英米・ヨーロッパの中世学者に強く印象づけることができた. ・『礼拝と音楽』誌に, 研究の一部, 「中世の礼拝と宗教劇」を発表した. ・神奈川大学の紀要に, 図像の方面に主点をおいた研究の一部を発表した. ・中世演劇辞典の刊行は, テーマが演劇のみならず, 音楽・美術・宗教など多分野にわたるため, 私がひとりで全分野をカバーすることはできず, 専門家の協力を得る必要がある. 幸いに, 「中世演劇研究階」の会員の協力を得ることができ, (1)サイクル劇の主要テーマ, (2)サイクル劇と音楽, (3)サイクル劇と図像, (4)サイクル劇の登場人物の4つのテーマについて研究を進め, その一部を成果としてまとめることができた. 今後はこの4つのテーマを, サイクル劇以外の演劇形態についても進め, 辞典の完成めざして努力してゆきたい.
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