研究概要 |
正しい英語教授法理論に基ずき, それに適した練習問題をプログラミングすれば, 必要な数のコンピューターを備えるための費用と, キーボードの操作に慣れるための手間に見合う学習効果をあげることができる, という仮説のもとに, 英語教育におけるCAIの役割に関する実験と調査を行った. 得られた知見は次の通りである. 正しい英語教授法は, (1)文型中心(audio-lingual),内容中心,機能中心(communicative)の各教授法とシラバスの長所を取り入れ総合化したものである. (2)学習者の母語能力を最大限に活用したものである. そのような立場より, 文型中心,内容中心,機能中心の各コースにおけるCAIの役割につき, キーボードを使っての口頭および文字による「日→英」転換の練習問題を設定し, その学習効果をシミュレーションにより学習者と教師が主観的に評価した. その結果, 次のことが判明した. 文型中心のコース内でのCAIは, 「聞き,話す」ことができるようになった表現を強化あるいはテストして, その「正確度」を増すためのものとして位置づけるのが最良である. すなわち, 文型練習の最後のステップでコンピューターによる練習問題を与えるのが一番良い. 大量のダイアローグや読み物を与える「内容中心」のコースの場合には, その中に現れる語句の系統立てた「日→英」訳練習により, 語彙の拡大を図るのがCAIの最良の役割である. 機能中心の場合も, role-playと自由発話, モデル会話に基づくproject,information-gapの課題, 等の準備段階において, 語句の系統立てた「日→英」訳練習を行うのが, 少なくとも現存のハードウェアに関する限り, 妥当である.
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