研究課題/領域番号 |
61510247
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
小池 生夫 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (70051266)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1988年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1987年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1986年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 第2言語としての英語の喪失 / 帰国児童の英語保持 / 帰国児童と英語力の維持 / 英語喪失の順序性 / 第2言語としての英語喪失 / ハイリンガルからモノリンガルへ / 帰国児童の英語力維持 / 長期観察による英語力保持の分析 / 児童の英語会話のエラー分析 / 帰国児童のテープ録音による英語分析 |
研究概要 |
主にアメリカ、イギリスから帰国した小学校児童4年生、5年生、6年生を前年度にひきつづき、1ケ月半から2ケ月ごとに数名づつ面接をし、英語で自由会話をつづけた。主に子供の物語りを話してもらうことを続けてきた。また、アメリカ人に依頼して録音テープより書写してもらい、分析の資料とした。毎回1人の児童あたり20分程度である。この研究は3年にわたるが、すでに4年以上現地で生活し、英語に堪能になった子供は、帰国後、何の学習もせずとも、かなり英語を保持しつづけることがわかってきた。また、個人差もあり、ある子供はほとんどことばを失っていくが、ある子供は喪失が感じられない。 分析は、形態素のあやまりの回数と性質によるものと、文構造の単純化と、つまずきの回数、文の繰り返し、あやまりについてが主である。その結果、本人は忘れてきたという意識があるものの、文中ではそれが目立たない時期、それがすぎると具体的に文中につまずきが増す。つまり、もはや置き換える表現が頭に浮ばないようになる。また複雑な構造が消えて行って、単純な文構造に変って行く。そして、次に日本語で忘れたところを補い、やがて日本語が英語にとってかわっていくという時期になることがわかってきた。形態素のうち、不規則動詞の過去形と規則動詞の過去形を比較すると、前者は形が残るが、後者はーedが消えて原形になってしまう。冠詞のaとtheでは、前者が消えるのがはやく、後者が保持される傾向がある。これは一部の発見である。しかし、全般的な文構造や、談話構造を把握、分析しなければならない。そのための現象をより最新の資料まで取りつづけないと、明らかにならない部分がある。したがって、できるだけ多くの資料を拠り所とするために、特に変化がようやく激しくなってきた時期だけにこれを行う必要がどうしてもあり、最終のまとめにもう少し時間を必要としている。
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