研究概要 |
国の行政機関の保有する個人データについては, 各国ともその法的整備がなされてきており, わが国でも, 国の行政機関にかかる個人情報保護として法律を制定することとされている. こうした検討の中で統計については, データが結局アグレゲートされるところから開示請求や訂正請求を認める必要がないという議論から別途, 検討されることとされ, 統計局では統計法の改正作業をしている. 統計法改正作業の中で論議となったのは, わが国の統計法体系が統計法, 統計報告調整法の二本立てになっており, しかも従来, 前者がセンサスや届出統計を所管し, これに対し後者は業務報告についてのレポートコントロールが主であるところから, 二元的体系なのか一元的体系なのかが問題となり, 結局, 立法作業過程では一元的な方向がとられた. 統計法体系は現在, 大きな転換期にさしかかったわけであるが, こうした中で, 国民の関心はもっぱらセンサスに向けられているのに対し, 行政側としては統計データを含むデータ保有とデータの利用(とくに目的外使用)に関心を有していることが, 今回の研究で明らかになった. 本研究では, 62年度研究実績報告書記載のとおり, 統計調査を情報行政法の観点から捉えなおすべく努めたが, 統計法改正作業への関与を通じて, 統計法体系が変わりつつある現在, 従来の分析枠組では十分な対応が出来なくなっており, 情報のフローとストックをいかに捉えていくか, とくに行政の内部外部論では法的アプローチが不可能になっており, さらに個人のデータへの接近方法(データリンケージなど)も法的検討せざるをえなくなっている. 本研究はこのような観点からは従来の実務や議論の整理と問題提起を行ったものである.
|