研究概要 |
1.本研究は戦後期日本において, 人々のあいだでアメリカがどのように理解されてきたのかを, (1)日本において論じられたアメリカ論と, その補強としてアメリカで論じられたアメリカ論を整理し, その歴史的・年代的資精をもとにして, インタヴィーをおこない, (2)面接調査による地域性・年令別・職業別のアメリカ・イメージの相違を調査しようとした. 2.報告は以下の通りである. (1)アメリカにおける日本論・日本におけるアメリカ論については, 相互の関心が一致しており, 年代を3つに区分することができたが, 第1期はアメリカは日本の文化を論じようとし, 日本はアメリカの民主主義を問題にした. 第2期は, アメリカは日本を近代化モデルの成功者ととらえ日本はアメリカを近代化モデルの目標ととらえた. 第3期はアメリカは日本の近代化成功のカギを論じ, 日本はアメリカに逆に経済発展のモデルを提示した. (2)面接調査については, 以下のような構成でおこなった. 被面接者=23名メディア関係=8名, 研究者=6名, 労働側関係者=5名, 経営側関係者=2名, その他=2名. 各面接については, 1名約1時間半から2時間の調査をおこなった. 予測していたよりも, アメリカに対する関心はうすく, メディア関係者においても, かなり弱かった. 地域性については, 朝鮮戦争やベトナム戦争時における北九州地域との関係が深かったので, 体験としてのアメリカ兵との接触などについては, かなり面白いものが引き出せた. 3.評価について. 日本の近代化・戦後の復興・国際化等々, アメリカとの関係をぬきにして語れない状況があるにもかかわらず, 全体のイメージとしてはアメリカとの係りに関心が弱い.
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