研究概要 |
1.本研究においては、昭和60・61年度にわたり、いわゆる生産性分析(Jorgenson-Grilliches (Review of Economic Studies,1969)に倣う)により、「高度情報化」現象の経済成長への影響を推計した。 2.昭和60年度においては、予備的な推計作業として、「高度情報化産業(電子計算機,電子機器,計算サービス等)」の付加価値の成長が国民総生産の成長に果たした貢献分(1970-80において平均4%程度)を計測した。 3.昭和61年度においては、「高度情報化」の波及効果を分析するために、同現象を表現する経済変数として、各部門の生産要素のうち「高度情報化部分」(労働については「高度情報化的」訓練を受けた労働者のサービス投入量、資本については投入産出表と粗投資額統計による「原価計算」から得た「高度情報化部分」の実質額-上記「高度情報化的」労働と、同目的の研究開発支出から「原生産」され、産業間波及によって生産物に「承継」されると考える--であらわされるストックのサービス投入量)を採用し、1974-1983年の国民総生産への貢献分を計測した。 4.同上結果を使用し、「高度情報化」現象が無かったとした場合における国民総生産の成長率を産出し、実際の成長率と比較した。論文Kuriyama and Oniki (1986)中に述べられているように、推定期間において、もし「高度情報化現象」がまったく存在しなかったならば、1984年における国民総生産は約12%実現値を下廻っていたものと考えられることがわかった。
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