研究概要 |
1.2標本問題において、(1)位置パラメータの恒等性,(2)尺度パラメータの恒等性、の検定を非正規性のもとで考察した。X標本(m×1)とY標本(n×1)がそれぞれ独立に等高楕円分布に従っているとき、平均値の差に基づく検定方式が適当な条件のもとで(1)に対して一様最強力不変であることを示した。また(2)に対しては、正規分布を仮定したときに用いられるF比による検定方式が一様最強力不変であることを示した。(裏面論文1) 2.品質管理や寿命に関する問題では指数分を含むガンマ分布を基礎分布として定式化する。裏面論文1では、この基礎分布についての仮定を弱め一般的な分布のもとで、(1)位置パラメータの恒等性,(2)尺度パラメータの恒等性を検定する2標本問題を扱った。1の場合と同様に、(1)(2)に対して通常ガンマ(指数)分布のもとで用いられている検定方式が一様最強力不変であることを示した。また検出力の単調性等をも示している。 3.正規分布のもとで平均値を検定する1標本問題では、有意水準をαとして、(1)1/2≦α<1のときも検定は一様最強力,(2)0≦α<1/2のとき一様最強力検定は存在しない、(3)片側,両側問題でも検定は一様最強力不変、である。これらに対応する結果を非正規性のもとでどこまで成立するかを考察した。密度関数としてq(【||x-μe||^2】)x:n×1,e=(1,…,1)',μeRの形をもつ範囲の中で、(1)に対してはqが非減少のとき、片側検定(H:μ=0 vs K:μ>0)に対して1/2≦α≦1ならば、t値に基づく検定が一様最強力、また0≦α≦1に対しては同じ仮定のもとで条件付水準αの検定のクラスの中で一様最強力であることを示した。両側検定問題に対しても条件付水準αの検定クラスの中で、t値の検定が一様最強力相似、であることを示した。これらの結果はKariya&Eaton(1977)が示したt値の一様最強力不変性よりも強い結果である。(裏面論文2)
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