研究分担者 |
仁木 直人 九州大学, 理学部, 助教授 (10000209)
安芸 重雄 統計数理研究所, 統計基礎研究系, 助手 (90132696)
尾形 良彦 統計数理研究所, 統計基礎研究系, 助教授 (70000213)
鈴木 義一郎 統計数理研究所, 予測制御研究系, 教授 (80000199)
清水 良一 統計数理研究所, 統計基礎研究系, 教授 (10000192)
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研究概要 |
今日, 自然科学・社会科学のあらゆる分野で, 現象を統計的に分析するための手段として, 多変量解析における各種統計手法が用いられるようになってきた. これは, 各対象が相互に関連し合う多様な特性によって特徴づけられることが多く, そのため特性間の相互関連性を考慮に入れ, 統計的に分析を行うことの必要性からくるものと思われる. 同時に, 多変量データの分析を実行する際に不可欠である計算機の急速な発達, 普及そして低廉化が適用の拡大化に大いに寄与したといえる. このような状況において, 多変量統計解析手法の実際問題への適用に当たって, 解決されなければならない問題点も数多く指摘されてきた. 中でも, データが正規分布に従うという前提に立った統計手法に対しては, 実際に観測されるデータがこの仮定に従わない場合が多く, その不合理性がしばしば指摘されていた. 本研究は, 多変量非正規モデルのもとでも有用な統計手法を提唱することを目的として行われ, 代表者, 各分担者の相互の研究協力を通して, 数多くの研究成果を上げることができた. そのいくつかを上げると, 遺伝の生物統計学的研究に関する世代間の類似性を計る尺度の提唱, 判別分析における予測誤差を数量的に評価する方法について, 非正規モデルのもとでも有用な手法の研究, 多変量解析の分析の基本となる固有値, 固有ベクトルに対する推定の誤差評価の方法および信頼区間の構成法を提唱, 統計量の分布を漸近展開式を用いて近似した際の誤差を評価するための式の導出, 経験分布関数の汎関数としての統計量の漸近分布に関する研究, 標準的な地震活動の点過程モデルと長記憶性の研究, 数式処理システムを用いた種々の統計量の高次漸近展開式の導出とアルゴリズムの提唱, などである. これらの研究成果は, 報告書「多変量非正規モデルにおける統計手法の研究」としてとりまとめた.
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