研究概要 |
本研究は、都市経済学的な理論フレームに基づく大都市圏域の社会経済構造の実証分析を目的とするものである。具体的には、(1)生産構造、(2)消費行動、(3)投資行動などを分析の対象としている。 本年度はそのうち(1)の生産構造の実証的解明を主たる目的として研究を進めた。主たる分析対象地域は、東京圏(東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県の1部3県)であるが、全国、他の大都市圏(札幌,中京,阪神,北九州,広島など)も調査研究の対象にし、特に全国については業種別モデルを作成し、東京圏分割モデルと連動することができた。 本年度開発したモデルは上記した「全国業種別モデル」と「東京圏分割モデル」の2つである。これらを動かして各種のシミュレーション分析を行い大都市圏生産構造の解明に努めた。両モデルの概要は以下のとおりである。 (全国業種別モデル) 8業種(製造業6.卸・小売業),構造方程式48本(推定式33,定義式15),サンプル期間:昭和40〜58年,推定法:直接最小2乗法。 (東京圏分割モデル) 2地域分割(東京都,周辺3県),構造方程式118本(推定式86,定義式32),サンプル期間:昭和40〜58年,推定法:直接最小2乗法,8業種,人口動態・昼夜間人口移動・分配・支出etc.を内生化。 今後の方向としては(1)両モデルの改良・精ち化,(2)全国マクロモデルとの結合,(3)地域分割の多層化,(4)クロス・セクションデータの利用,(5)情報近接性の導入などを考えている。特に(3),(4)については「工業統計データ」の利用により比較的容易に取組めると思われるので近々に研究を進める予定である。
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