研究概要 |
本研究は、資料図書の収集と整理が一つ、韓国と台湾の民族財閥比較分析が一つ、この二点から進められてきた。 前者について、ほぼ月1回の割当てでアジア経済研究所(東京都)等研究大学機関・図書館に出掛け、多くの資料図書の収集に成果をあげた。その成果は「フィリピン経済の成長と挫折」(400字原稿用紙43枚,梅津和郎他共編著『極東アジアの政治と経済』泰流社,昭和62年度中に刊出予定)にまとめられているが、同研究論文は、主としてフィリピン経済の戦後過程の軌跡を確め、その延長線の上にマルコス政権の経済運営とその構造の行詰りの必要性を解明し、フィリピン経済の特殊性を指摘し、また今後の展望を試みたものである。 後者について、韓国の財閥についての研究は、資料整理の段階にあり、財閥の蓄積構造とそのメカニズムにひとまず焦点を合せて、400字原稿用紙60枚程度にまとめる予定。一方、台湾の民族財閥についての研究は、初稿の段階にあるが、その構成はつぎのようである。(1)序言,(2)国内市場における占有構造,(3)金融市場における占有構造,(4)輸出市場における占有構造,(5)八大財閥の資本蓄積形態,(6)結び、合せて六節であるが、400字詰原稿用紙60枚程度におよぶ。この初稿は推敲し整理の上、学会誌に載せる。 このように、韓国・台湾の財閥研究が進むにつれて、その成果を踏まえた上で、シンガポールと香港の財閥研究に取り組み、最終的にはアセアンを含めたアセアン・ニックス民族財閥研究(総合)の目標に到達する。その意味で、本年度の研究実績は実り豊かな第一歩を大きく踏み出したものと言ってよく、今後の総合研究に大きな手掛りを与えたものと評価したい。
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