研究概要 |
1973年の第一次オイルショック以来, ここ15年間に及ぶ日本経済の成長構造は, さまざまの面で大きく変化してきた. 近年その方向について, 経済のサービス化, 国際化, 情報化, そしてそれらをまとめる概念として, 経済の構造変化といった用語がその特徴を集約的に表現している. サービス化を中心とする日本経済の大きな構造変化は, 第1に, 何よりもその実態を把握する従来の経済統計の制度, 体系の変更を迫っている. そして, 第2に, 経済政策のあり方や, また第3に, 物価・価格体系の変化などの, 経済の実態面などにも影響を及ぼしている. 本共同研究では, 経済の構造変化のうち, とくに, サービス化に焦点をあて, 次の論点に課題を限定して, 分析・検討した. 1.経済のサービス化・ソフト化に関する内外の研究を参照しつつ, 経済のサービス化の経済統計の体系との関連について, 産業分類論を中心として検討すること. 2.経済の国際化の進行がサービス化を促進していることを考慮しつつ, GNP統計と貿易統計との連結をつうじて国民所得構造と貿易構造の変化の実態把握の方法について研究すること. 3.経済の実態面について, 今日の政策課題とも関連して, 付加価値税導入の価格体系への影響を検討すること. 日本経済において, 今後, 円高の影響を避けるために海外への投資が増え, "産業の空洞化"が進行していくことが予想される. それとともに経済のサービス化がさらに重要な問題になることであろうが, 本研究により, それらの問題を分析, 検討するための, 最初の手がかりは得られたものと, 考えられる.
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