研究概要 |
世界経済の伸びの鈍化・一次産品価格の低下と石油価格の急落・累積債務問題の深刻化・ドル高是正の急速な進展・共産圏経済の経済改革など渾とんとする世界経済の動きを背景に、世界貿易では今、日本・アジアの工業製品貿易の拡大,太平洋地域における国際分業の進展,アメリカを中心とするサービス貿易・ハイテク貿易の増大などの新たな変化が生じている。 オーストラリアの産業構造も、世界経済・世界貿易の動きを反映し、第一次産業への過度の依存から、高付加価値の製造業促進・サービス産業の拡大への動きが出てきている、最近の日豪の輸出入動向をみると、オーストラリアからの輸入では、石炭・鉄鉱石・穀物などの一次産品が軒なみ減小しているのに対し、機械機器・アルミ地金などの高付加価値の加工製品の輸入が大幅に増えている。かつて高度経済成長時代において、原材料輸入・製品輸出という一面的な日豪経済関係、別言すれば相互補完的な経済関係の時代から、今日では、それを基調としながらも、機械機器類,さらにはサービス業貿易における競合関係を加えて、日豪貿易は多面化し、構造変化が生じるに至った。これらの変化をふまえて、日豪両国政府は、首脳レベル,閣僚レベルで日豪通商関係の均衡と発展を目ざして精力的な取組みを行なっている。通商関係においては、日本の市場開放措置,新ラウンドの推進,資源エネルギー関係では、石炭輸入,褐炭液化プロジェクト等の日豪エネルギー協力,産業政策関係では、豪州の産業再編成・再活性化促進のための産業協力・技術協力の推進が、今後一層必要とされている。
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