研究概要 |
1.本研究は, 男女機会均等の実現の出発点であった. 昭和20年代の労働組合婦人部の原点を分析し, また, 戦後の労働運動に婦人部が果した役割及びその貢献を明らかにすることであった. 調査研究を行った結果新たに解明されたのは, 国鉄大阪管区出身丸沢三千代氏(高女卒)は敗戦と同時に女子労働者の解雇を守るため団結を考えた. (1945年9月現在国鉄女子労働者11万人)ウエッブの労働組合関係の本を読み女子労働者固有の問題, 組合は横断的に組織することが解った. GHQの10月5大革命(イ)婦人解放(ロ)労働組合結成(注労働省発足47年4月)の前に, 横断的組織にすべきか悩み抜いたという事実は, 前後社会政策学会の新発見である. 国鉄解体前2千人余りいた婦人労働者がJR移行の際全員不採用となり婦人部は終焉した. 2.戦前唯一の女性高等文官に採用された渡部美恵氏は, 労働者婦人少年局長山川菊栄氏の後を当然継ぐべき人物視されていたが数年で退官した. この不可解な理由が究明された. GHQの徹退に当たり, 女性通訳は婦人少年局へ移動させられた. GHQの高賃金額を公務員賃金体系にその額通りに位置づけた. そこで部下の賃金が数倍も高いのは無念であろうと説得されたからであった. それが日本エリートの頂点にいる高橋展子氏である. 3.数年前筆者は国会に参考人として呼ばれ労働基準, 特に労働時間に対する意見を述べた. その時議員から女性の平均寿命は男より長いのになぜ母性保護が必要なのか質問された. それは男女の役割分担, 食物, 気候風土, 医学, 社会保障, 生活文化等の違い等歴史的総合的に判断すべきものであり, 現にアジア諸国では女性の方が寿命が短いこと. 60年代に読んだイギリスの雑誌にエリート女性ほど寿命が短いことが報告されていた例をあげて答えた. 今回の聴取りにより, 偶然その課題が的中していることに驚いた. 「見るべきものは見つ」という感慨をもつ調査であった.
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