研究概要 |
1.ザドルガ関係文献の収集 この点については、ブルガリア史の専門家である寺島憲治氏の協力を得て、まず、19世紀以来の日本内外のザドルガ関係文献目録を作成した。そして、この目録に基づいて、基本文献の収集にあたった。残念ながら、予算の関係上、収集できた文献は、なお限られている。 2.研究会の実施 ザドルガは、今日のユーゴスラヴィア,ブルガリアを中心として存在したが、周辺のハンガリー,ルーマニア,ギリシアにもある程度類似の家族型態がみられたので、かなり広い範囲の研究者に参加してもらって、研究会を行った。年間、計10回あまりにおよび、内1回は、自費で合宿形式の研究会を持った。 3.研究の成果 (1)ザドルガの地理的・民族的分布は、十分に明らかになった。 (2)ザドルガの起源は、諸説があり、今後も研究すべきである。 (3)19世紀前半までのザドルガの経済的機能は、社会的機能と合わせて研究し、かなり具体的に把握した。しかし、今後は、もっと詳しいケース・スタディが要求される。 (4)19世紀後半のザドルガの衰退についても諸説があるので、なお研究の余地が残されている。 (5)戦間期におけるザドルガの機能については、十分に研究できなかった。 (6)ザドルガを、周辺の国々の家族制や、ロシアの共同体と比較することはもとより、バルト地方やポーランドやスロヴァキアの家族制とも比較することが必要になってきている。
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