研究概要 |
第1年度は, 当該期の問題解明のため, 日本経済構造を貿易の側面から捉えた特徴づけをいかにすべきか, にかかわる論点の論理, およびそれにもとづく貿易構造の統計数値的実証論文の作成を行い, かつ今一つの角度としての日本の工業発展を支えた労資関係の展開について, 国際連盟報告書にもとづいて整理, 検討した. また, この時期の貿易構造にも規定された対外関係を, 清沢洌, 尾崎秀実の外交論の中から, 探り出す作業を行った. また, この問題に関連する書評論文を2本, 発表することができた. 第2年度は, 第1年度に購入したマイクロフィルム史料(帝国経済会議議事録など)を活用し, 1920年代の経済政策体系を解明すべく, 1924年の政府〓〓会, 「帝国経済会議」の議員出身構成分析, 議事経過を議事録により, 全国的に分析検討した. そればかりではなく, 同会議に先行する臨時国民経済調査会, 臨時財政経済調査会等の議事録, これら審議会に対する商工団体等の〓〓についても集約, 分析して, その統括論文「大戦後日本の経済政策構造」にまとめ, これを収録した. 山本義彦編集・解説『第1次大戦後経済・社会政策資料集』全7巻(B4判, 300ページ)にまとめ上げることができた. またこの成果を, 土地制度史学会1987年度秋季学術大会に報告し, あわせて, 大会報告要旨集にも発表した. この2カ年間にわたる研究の総括として, 冊子としてもまとめ, 同時に, 1988年度科学研究書・研究成果公開書の交付を申請し『戦間期日本資本主義と経済政策-金解禁問題をめぐる国家と経済-』として, 公刊すべく準備していることを申し添えておく.
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