1.三井文庫所蔵の三井物産株式会社資料(関東大震災以降〜1945年)のうち、取締役会議案の件名カード、業務課(業務部・商事部)議案の件名カード、契約書類の件名カードを作成し、これらのカードを分類して、商品別区分による目録を完成した。 2.三井不動産株式会社所蔵の三井合名会社・三井物産・三井本社資料を収集した。また、神戸大学経済経営分献センター、大阪府立中之島図書館所蔵の商社関係営業報告書類、三井関係雑誌記事などをコピーで収集した。 3.1の作業・2の資料収集などをもとに、財閥商社の活動の分析をすすめ、1986年度中に、三井物産の薬品(化学品)取引に関する論文を執筆し、『三井文庫論叢』に発表した。 (1)この論文では、三井物産の重化学工業化への対応を検討し、日本資本による国内カルテル、日本資本・外国資本による国内向国際カルテルだけでなく、従来日本経済史では研究がほとんどなされていない海外市場での日本資本・外国資本による国際カルテルをとりあげ、それへの三井物産の参加状況を分析した。これによって染料については、1930年代に日本の化学資本が真の意味での国際的自立を達成しえたことを実証した。 (2)また、日中戦争期、太平洋戦争期には商品流通機構がしばしば改変されるが、そのことが三井物産の商品取引活動とどう関連するのかを、実証的に明らかにした。 4、今後、各商品毎・各地域毎に論文を執筆する予定である。
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