研究概要 |
経営組織や組合組織など大規模たると中小規模たるとを問わず組織に参加しようとしない若者たちが増えている. 報告者は情報化社会の先端企業としてA社(約30万人の従業員を擁する経営体の労働社と, 大阪の鑛金産業の62社の労働者の意識調査をし, 若年労働者のパワー関係の認識態様を特定化し, 組織の在り方の原点がどこにあるか, そしてそのことが組織の最も機能的な形態である官僚性機能に対してどういうことが言えるであろうか, 等の問題点から調査をした. 情報産業調査は, 同社の労働組合と共同で5000人の対象者のうち4788名のプロフィール(年令, 性別, 居住地域, 職制などを問い, 質問事項にて, 職場について(出資の構造, 経営志向性, 人間関係, 参加論, 戦略論, 技術革新, 販売, 労務など), 組合について, ライフ・スタイルについて, 政治生活についてを問い, 層別年令, 性別のクロス集計を行った. 鑛金産業調査は, オイル・ショックや円為替レートの変動で大きな影響を受け, 特殊な技術への専門化や機能化がみられるなかで, 若年労働者は極めて少なく, 500通発想して, 62通の回答しかえられなかった. これは, 職場に労働者がいなくなったり, 工場そのものが新工場と共にNics諸国などに進出, 又は脱出して行ったためであろうか. 調査の結果, A社の巨大経営体よりも小規模経営体における方が, 本調査の論理仮説(ハイテク化され, 近代的な経営体になっても, power-with的な, 民主的な職場の在り方こそが職場を支える原動力となること)に適合的であった. 大組織では, 常に, 経営管理は現場に聞けと言われている. これこそ, 現場の事実を知り, 機能的権限を自覚して自律的組織動学を知れということになるのである.
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